在宅ワークへの道

業務委託のリアル|安易な開業届を取り消した理由と扶養のリスク

nagi

「フルリモートで業務委託として働くなら、まずは形から整えなきゃ!」

私は元々、石橋を叩きすぎて壊してしまうタイプのHSP(敏感な気質)です。

新しい環境に飛び込む際、後からトラブルになるのが何よりも怖くて、人一倍「事前の準備」に力を入れてしまいます。

業務委託スタートにあたっても、とりあえず税務署に開業届を出してしまった経験があります。

しかし、その「先回りして安心を得たい」という気質が、完全に裏目に出てしまいました。意気揚々と届出を出した数日後、色々と調べているうちに、不安に襲われることになったのです。

結局、私は出したばかりの開業届を「爆速で取り下げる(取り消す)」という決断をしました。

この記事では、私の浅はかだった失敗談より、税務署に確認して「取り下げ書」を自作したエピソードを公開します。

「先回り」して契約した、バーチャルオフィス

業務委託を始めるにあたって、私が真っ先に気になったのは「住所」でした。

今の住まいは居住用の賃貸マンション。契約書を読み返すと、当然ながら「居住専用」となっており、登記や開業届の住所として登録したりすることは認められていません

もし勝手に開業届を出して、管理会社や大家さんにバレたらどうしよう……

最悪の場合、契約違反で退去を求められるかもしれない

そんな最悪のシナリオを想像して夜も眠れなくなるのが、HSPの性分です。

自宅を仕事場として登録するリスクを100%排除し、誰にも迷惑をかけずに活動したい。そう考えた結果、私はまだ1円も稼いでいないうちから、ビジネス専用の住所を借りられるバーチャルオフィスを契約しました。

バーチャルオフィスとは?

一言でいえば「住所のレンタルサービス」のことです。

実際の仕事は自宅で行いますが、開業届や名刺、Webサイトに記載するための「一等地の住所」だけを貸してもらう仕組みです。郵便物の転送サービスもあり、自宅住所を公開せずにビジネスを始めたい人、特に私のように「住宅用賃貸で開業届が出せないけれど、プライバシーを守って活動したい」という人によく利用されています。

「これなら公的な書類にも堂々と住所を書けるし、自宅のプライバシーも守れる。安心を買うための投資だ」 当時はそう自分に言い聞かせ、形から入りましたが、今振り返れば、この行動は非常に「浅はか」でした。

収入の見通しが立っていない段階で、安心を買うために固定費を増やす。これは経営判断としてはミスです。結局、このオフィスは一度も仕事の実績を作ることなく解約することになり、数千円が「勉強代」として消えていきました。

大手健保組合「扶養ルール」の見落とし

開業届を出して数日後、念のためスマホで夫が勤める大手企業の健康保険組合(組合健保)の規定を調べたところ、心臓が跳ね上がりました。

一般的には「年収130万円未満なら扶養内」という言葉をよく耳にしますが、「個人事業主」として活動を始めると、その判定基準が驚くほど厳しくなるということを知ったからです。

  • 「直接的必要経費」しか認めない(「売上」がそのまま収入とみなされるリスク)
    • 給与所得なら「額面」で済みますが、個人事業主の場合、税務上で認められる経費(PC代や家賃按分など)を健保側が「収入から引ける経費」として認めてくれなかったり厳しい条件が設定されていることがあります。
  • 開業=自立の意思
    • 開業届を出した時点で「自立した事業主」とみなされ、収入に関わらず扶養から外れるよう促されるケースもあります。

多くの健保組合では、給与所得者(パート・アルバイト)と個人事業主の扶養条件を明確に区別していることが分かりました。

さらに、夫の会社から支給されている「家族手当」の存在。

私の数万円の不安定な報酬のために、家族手当を失うリスク。HSPにとって「未確定のリスク」は、精神を削り続ける不安そのものです。私は「とりあえずやってみる」ことをやめ、「今すぐ、最初からなかったことにする」道を選びました

税理士の助言と、税務署への「間違えました」電話

業務委託として契約した税理士事務所の所長に「開業してしまった」旨を話したところ、「稼ぎの規模に関わらず、開業せずに『雑所得』として申告して様子を見る方法もあるよ、節税はできないけれど」と言われました。

「業務委託で働くことになったから即開業」は時期尚早だったか。。

ネットで検索しても開業届の「取り消し方」は載っていません。やむを得ず管轄税務署へ電話をかけました。

先日、電子申告した開業届ですが、間違えて出してしまいまして……取り下げることは可能でしょうか?

税務署
税務署

それなら『取下書』を出してください。

フォーマットはありませんので、今からお伝えする「必要事項を記載した書類」を作り、「返信用封筒」を同封して出してください。

「間違えた」という素直な理由が、最もスムーズな解決策でした!

【実録】私が実際に提出した「取下書」の全項目

税務署に指定のフォーマットはありません。

私は電話で必要事項をヒアリングし、Excelで「取り下げ書」を自作しました。

実際に提出し、受理された様式はこちらです。

〇〇税務署御中

20〇〇年〇月〇日

住所: 東京都〇〇区……

氏名: 〇〇 〇〇

電話番号: 090-〇〇〇〇-〇〇〇〇

取り下げ書

一身上の都合により、20〇〇年〇月〇日に電子申告した下記届出書等の取り下げをお願いいたします。

  • 個人事業の開業・廃業等届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書

以上

上記を2部印刷し、「切手を貼り自分の住所を書いた返信用封筒」を同封して郵送しました。

数日後、受付印が押された控えが戻ってきたとき、「これで最初からなかったことにできた…」と、ようやく肩の荷が下りたのでした。

【重要】取り下げができるタイミングについて

ここで一つ、大切な注意点があります。

今回私が行ったのは「廃業」ではなく、提出自体をなかったことにする「取り下げ(取り消し)」です。

取り下げが受理されるのは、原則として「事業の実態が生じる前」かつ「提出から間もない時期」に限られるかと思います。

少しでも事業としての売上が発生していたり、提出から時間が経過していたりすると、税務署からは「取り下げ」ではなく「廃業届」の提出を求められる可能性があります。

「間違えて出してしまった」「やっぱり今のタイミングではなかった」と気づいたら、一刻も早く、まずは管轄の税務署へ電話で相談してください。

状況によって判断が分かれる部分ですので、ご自身のケースで取り下げが可能かどうか、必ず確認することをおすすめします。

まとめ

取下書の提出とともに、バーチャルオフィスも解約。初期費用は戻りませんでしたが、よい「勉強代」となりました。

もし今、開業届を出してしまった直後で「やっぱり出さなきゃよかった」と後悔し、不安で夜も眠れない方がいたら、管轄の税務署に「間違えたので取り消したい」旨を相談してみてください。

先にお伝えした通り「事業の実態が生じる前」かつ「提出から間もない時期」であれば、取り下げできる可能性があります。

お役に立てれば幸いです。

ABOUT ME
なぎ
なぎ
部長
経理歴15年、完全在宅3年目。 大手メーカー・会計事務所・7年の専業主婦(兼ハンドメイド作家)を経て、現在は「ママ友0・通勤0・電話0」を実現。誰にも邪魔されない極低ノイズな在宅経理という天国に潜伏中です。 人当たりよく見せかけていても、内面は超・神経質で刺激に弱いHSP気質。15年の実務経験と、静かな自立の作法を綴る「思索ログ」へようこそ。
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